カフェオレをくれたサラリーマン

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きのうの夜、東池袋に住んでた元カレの家がどんなだったか思い出したくてグーグルマップでなんとか道を辿ってみたんだけど、よくわからなかった。おかしいなーあそこに確かサンクスがあったはずなんだけど…ファミリーマートがやたらある。もしかして改装してファミリーマートに変わっちゃったのかも。近くに小さな公園もあったはず。あのボロアパートの近くに大きなタワーマンションがあったのは今でもよく覚えてる。小さなアパートは結局見つけられなかったけど、あのタワーマンションはすぐ見つかった。そういえばよく、マンションを見上げて「いつか大人になったらあんなところに住んでみたい」なんてことを何度も口にしたっけな。今はまったくそんなことを思わなくなった。絶対あんな建物、つまらないでしょ。人って単純だからさぁ、高いところに住んでると自分の身分も地位も高いと勘違いするんだよね。自分が強いことを表明するために上に乗りたがる犬と同じだね。私はスカイツリーで眺めた夜景にはちっとも魅了されなかった。私は世界を見下ろすより見上げるほうが好きだね。別に地面でいい。あの頃の私は子供だったな。彼氏が帰ってくるのをアパートの前でしゃがんで待っていた。深夜のときのこと。向かいには単身者向けの低層マンション(木造でないだけの建物)があった。23時過ぎた頃に一人のサラリーマンが帰宅して、マンションの一階の部屋に入っていった。歳は多分30代前半といったところか。こんな時間までお仕事お疲れ様、と思いながら、明かりの付いた部屋を眺めていた。あの中にも一人の人間が生活をしているんだよなぁと思うとなんだか不思議な気持ちになった。しばらくすると、またその男性が玄関の扉を開けて外へ出てきた。部屋着に着替えてあった。コンビニへ行くのかな?と思っていたら、こちらへまっすぐ向かってきたのである。(ひーっこわいこわい!)と思っていたら目の前にセブンイレブンのアイスカフェオレが。「余ったんでどうぞ」「ああありがとうございまひっ」そのまま男性は再び部屋へ戻っていった。後にこの話を彼氏と仲良い当時の女友達に話すと、「あーむかいの家でしょ?あのおばあさんよく果物とかくれるんだよー」と返された。えーと、それはあのマンションの左隣にある一軒家のことだな。そうじゃなくて私の言ってるのは…………なんていちいち説明はせず、「そうなんだぁ」と頷いた。ちなみにそのカフェオレだが、彼氏が帰ってきてもらいものだからとあげた。なぜなら当時私はコーヒーのたぐいの飲料が飲めなかったからである。お子様だったからね。彼氏との思い出よりも、名前も知らないあのサラリーマンのことのほうが強く印象に残っている。あれからもう四年も経つ。もしかしたらあの人はもうあそこには住んでいなくて、何処かの誰かと結婚して家庭でも持っているかもしれない。元彼が、もう引っ越して違うところにいるくらいだからね。今はどこにいるのかな。ドイツかな。連絡は一切とっていない。LINEのidも、電話番号も、全て忘れた。

唯一、都会って素敵だなと感じた思い出である。

豊かさとは、愛とは贅沢とは暮らしとは何なのか、私はあらゆる心を犠牲にして大切なものを得られたのでした。


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