えっち

東京行きの電車に揺られている。

あと2時間近く乗っていなければならない。その苦痛を回避するために、最近はグリーン車を利用する。席の位置が変わるだけでこうもストレスが軽減されるのはすばらしいといつも思う。

電車の中では必ず暇を持て余す。暇を持て余すと、人は意味のわからないことを考え出す。

例えば人類滅亡について。

人類は遅かれ早かれ滅亡する。必ず滅亡する。大昔、恐竜が氷河期を迎えるにあたって絶滅したときと同じように。人間もきっと何かによって、生きられる環境が破壊されて、最初からいなかったかのように消えてしまうのだ。

でもその消え方にもきっと、種類や方法はいくつかある。気候や環境によって徐々に人口が減っていき、やがて0になるか。それとも隕石が落ちたり太陽が爆発して、一瞬にして0になるか。

徐々に減ってゆくときに、最後の一人になってしまった場合どういう最期を迎えるのか。一人で自給自足で生活してるんだろうか。街はあるのか。すべての街や国がゴーストと化してるのか。何を食べるんだろう。動物はいるのか。

そんなことを考えたらとてつもなく恐ろしくなっていった。宇宙の秘密よりも夜眠れなくなる。

生きている意味、なぜ働かなければならないのか、社会とは、結婚、世づくりなど、終わりのない問について考え続ける。だんだん抜け出せなくなってきて苦しくなっていく。出口のない迷路から私を救うのは唯一、えっちな妄想だ。

今日、2週間ぶりに男に会ったらどんな顔して接してやろう。手なんか繋いだらびっくりするかな?いつもそっけないのに、急に甘えてきたらドキドキするのかな?積極的にチューなんてしたら、喜ぶかな?

思わず口がもごもごする。ニヤケをこらえるために上がりそうな口角を必死に下げようと筋肉を使うため、もごつくのだ。

あ〜、こういうことで楽しいと思える心、時間は、貴重だ。人類滅亡のこととか哲学のこととか、一気にどうでも良くなった。

えっちなことを考えると、憂鬱も吹き飛んじゃうし、えっちってすごいなあ。

えっちだなあ。

あくまで考えることが楽しいんであって、実際にするかしないかはどうでもいいんですよ。

物語性が大事なのだよ。物語性が。


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