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散歩・水・鳩

日記

散歩が好きな人間の気持ちを長年理解できずにいた。

犬がいるため、半ば仕方なく、毎日散歩へ出かけている。
およそ1時間。
見慣れた風景、歩き慣れた町を歩いているわけだけど、人という生き物は賢いものでして、いかにして退屈を振り払うかの能力に長けています。
行き止まりに出くわして、Uターンするところを誰かに見られるかもしれないという覚悟を握りしめ、見慣れたつもり・歩き慣れたつもりの道を進んでみたわけです。
時刻は14時半(違うわ、16時半だわアホ)をすぎたあたりだろうか。日が沈むごとに空の色が敏感に変化してゆくその時間帯を選んだせいだろう。もう随分と遠いところまで来てしまったかのような錯覚に陥った。
知っている川も違う場所から眺めるとまるで別人のようで、きっとそれは流れている川水の位置一つで水温や色、味、生存している生き物たち、何もかもが違うのだろう。
それらは同じようで全く違う。この川の水も最後には海につながっている。名前はあれど、ここに流れているものは宇宙から見たらただの「水」でしかないのだろう。なんてちっぽけなことか。
続く田畑の間に通る細い道をまっすぐ進んでいくと、こがらな小屋があった。鳥の鳴き声がするので、おそらく鶏を飼育しているのだろうと思い覗き込んでみると、そこには大量の鳩がいた。
小屋のすぐ隣には小さな畑もあった。子供が夢見るような豪華な秘密基地だった。ここにさらに雑な家でも建てて住んだらさぞかし健康的だろうな。
とはいえ便利すぎる時代に生まれてしまった我が身で、田んぼのど真ん中に住むのはつらい。

帰って母に鳩の話をした。
「あれはなんで育ててるのかな。食用かな。」
そんなわけないだろと言われました。(仮に伝書鳩だとして、誰があんなに鳩を使うんだ)
散歩は意外と楽しいのかもしれない。終


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