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風俗で働いて他人に「ありがとう」が言えるようになったハナシ。

就活も終えたということで、心置きなくダークなお話が書けるようになりました。
その記念と言ってはなんですが、ちょっと昔の話をしようと思います。

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職業のための風俗と聞くと、聞こえは悪い。イメージも悪い。
働いている女の子たちにはみんな何か不幸な事情を抱えているのではないか?と考えてしまいがちな世界である。
それはあながち間違っていないと思う。学費のため、生活費のため、借金返済のため、はたまた夢のための貯金に向けてといった様々な理由がある。
私もそのうちの1つだった。

19歳。
色々あってたった4万というお金を返すため、上京して間もないうちに風俗の求人サイトとにらめっこした私は、「見るだけ!8万円保証!」とうたわれたダミー求人に見事だまされ、池袋の東口でお店の人と待ち合わせた。

雑居ビルの地下へ案内されおじさんのあとをついて店に入ると、レジ横の壁には女の子の写真が貼られていた。こんなにたくさんの女の子が働いているんだ…私は少し驚いた。
身分証明書のコピーをとられて、名前や身長や体重、スリーサイズなどを記入したのち、写真を何枚か撮られた。店内で簡単に。
その後仕事の説明をされるのだが、私は話を聞いている最中に「ん?」と冷や汗を流した。

「(見るだけなんじゃなかったっけ…?ここってオナクラだよね?)」

おじさんが説明している内容は明らかにそれとは違うものだった。イメージプレイ?夜這い?痴漢?ローション?ていうかラブホに行くの?

「じゃ、とりあえずこのバッグ持って実際に行くホテルまで案内するね」
「は、はい」

バッグは普通のカジュアルバッグで、この中にイソジンやコップ、タイマー、そしてローションなどが入っており、これを持ってホテルまで女の子が歩いて向かうのだ。顔を見られたくない人はお店からサングラスを借りたりするらしい。みんな同じようなバッグを持っているので、誰が風俗嬢なのかすぐにわかるのだ。

薄暗い、気味の悪いラブホテルへ入る。人生で初めてのラブホだった。
おじさんは何やらフロントに一言言って、そのまま一緒にエレベーターに乗って部屋へ入った。
古くて安いホテルだったので部屋の中はとても居心地のいいものではなかった。気味が悪いのはフロント同様。雑に大きなベッドがあるだけで、お風呂もなんとなく気が滅入る雰囲気だった。

「夜這いプレイの時はこのアイマスクで目隠しするんだよね。で、先に布団の中に入って寝るフリするの。その間にお客さんがシャワー浴びてるから。シャワーから上がってきたら、お客さんのほうからベッドに入ってくるから。わかる?」
「は、はい」

「じゃあ実際にやってみようか!これ(アイマスク)つけて。シャワー浴びてくるからね。」
「は、h…(え?)」

「("実際に"?マジで?)」

おっさんはさっさと風呂場へ行ってしまった。部屋の電気は暗い。手元には渡されたアイマスクがある。
仕方なしに自分で目隠しをして、布団に入って寝たフリをした。緊張というよりも、状況を全く把握できていなくて、わけがわからなかった。

結果から言うと講習と言うにはあまりにも私がマグロすぎたし、別に挿入されるわけでもなく一方的に前戯を施されて終わった。
よくわからなかったし、不快感しか無くて抜け殻になっていた。

その後、またお店に戻って、出勤日を決めて、帰った。

帰り道、池袋駅へ向かう途中、「はは…死ぬかー」と思いながら放心していた。
駅のホームで立ちながら「ここから飛び降りれば死ねるのかー」と思いながらも結局それはできなかった。

1つ決定的に変わったことがあった。
コンビニで何かを買った時、今まで店員にお礼なんて言ったこともなかったけれども、あの日はじめて「ありがとうございます」を言えた。
その瞬間、自分ってこんなこと言える人間だったっけとふと思った。

最低で最悪なことに自ら足を踏み入れてしまったことによって、今まで自分の中にあった自尊心だとか、自己愛だとか、自己過大評価が一気に崩れ去った。その代わり、「こんなどうしようもないゴミクズなのだからせめて他人に優しくしなければいけない」という意識が芽生えた。
それが良いことなのか、悪いことなのかはわからない。でも、確かにあの日を境に私は自分の愚かさに気付いたのだ。あれまでの自分と、あれからの自分だったら、私は後者のほうが人としてだいぶマシだと思っている。今の私もそう優れた人格を持ち合わせていないし反省すべき点はあるが、それでもマシにはなった。マシになり続けている。

痛い目にあわなきゃわからない人種が世の中には存在する。普通に考えればわかることがわからない人もいる。私はまさにそのタイプなのだと思う。


ちなみに、そこのお店は初日以降一度も行かなかった。
密室で知らない男と過ごさなくちゃいけないなんて、怖すぎると思ったからだ。身体も重ねたくない。
4万を返すだけでまたさらにお店で苦労をすることにはなったのだが、まあ今日はこのくらいにしておこう。


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