読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

『帰ってきたヒトラー』を観たので。

映画

『帰ってきたヒトラー』を観てきました。
ざっと感想を走り書きします。もちろんネタバレあり。

帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)

帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)


ヒトラーが目覚め、彼を利用してTVに出演させたり映画を作ったりするものの、政治活動も積極的に行っていく彼を見ても誰一人と「本物」であることに気付かないのだ。
本物だと気付いた男が1人だけいる。その男の真実は精神疾患者の虚言としかとらえてもらえず、ラストは施設にブち込まれてしまう。
作中、コメディ要素はありながらも、ヒトラーは何度か同じ台詞を述べていた。「社会の悪い状況は政治的に有利(前半の台詞忘れた)」であるということ。
そしてもう一つ、「私を支持するということは本質的に両者共々同じであり、そして価値もまたそうである。(的な台詞)」という台詞。
この2つのヒトラーが語る政治の真理みたいなものには、目の前を黙らせる異常な圧倒的説得力を感じられた。こんな政治に関して無知な私にですら、である。
この映画では表面的にはブラックコメディ的要素が多く盛り込められていた。観客の笑い声は何度も響いた。
作中ヒトラーはインターネット上でも現実でも、多くの人達の好感度という支持を得た。移民・難民問題について積極的に彼はドイツ民たちに耳を傾け声を聞いた。
恐ろしいのが、ヒトラーが(恐らく)現代に蘇ったからといって別人になっているかというと、全くそんなことは無いということである。
繰り返し言うが、彼は当時と変わらず、時代は違えどかつてのヒトラーと同じようにして人々の支持を得ていったのだ。
そしてそれを観ている観客は、時には笑い声をあげる。

私が得たこの映画のメッセージというのは、ヒトラーが蘇ったところで同じ歴史を繰り返すであろうし、つまりいつの時代でも社会状況が悪ければ悪いほどヒトラーは指示されるのだということです。
結局我々はヒトラーを選ぶし彼のような人間を求めているのかもしれない、という、歴史を知っておきながらでの悲痛の叫びなのかなと感じました。「帰ってきた」という表現は少なからず肯定的に彼を受け止めていると思われますので。
映画をきっかけに、彼は一体どういうふうに当時の社会を見ていて、そしてどういう政治が相応しいと考えたのかが興味深くなりましたね。ヒトラーを知らない人にも本当にすすめられる内容でした。
非常に難しい作品だと、考えれば考えればそう思います。この作品を見てヨーロッパの人たちは一体どんな反応をしているのか、気になるところです。


読書リストに『わが闘争』を追加しないとな…


PAGE TOP